本日も晴天なり。 中編
火影の建物をでて、街中をしばらく歩いても二人の間は沈黙だった。
いつもはすこしくらいポツリポツリとでてくる言葉もないまま、門までついた。
「 じゃあ、見送りご苦労さん。 」
そういって歩き出そうとするテマリの手をシカマルが骨が折れそうないきおいで握った。
そのまま有無を言わせず、引いて歩いていく。
門のすぐそばの茂みまで。初めて触れたその手は思っていたよりもずっと細かった。
「 なんのつもりだ。離… 」
テマリがいうか否かの隙に、シカマルはテマリを大木に押し付けた。
「 っ 」
あまりの勢いの力と背中の痛みに思わずテマリが声を上げたが、
シカマルは何も言わずにテマリの顔の横に両手をダン!と大きな音を立てておいた。
心臓が、高鳴る。
全身で警告のような心音が鳴り響く。
脳内で警報が鳴り響くかのように、血管をとおる血液の速すぎるスピードを感じる。
「 …なんのつもり、はこっちのセリフだ。 」
いつもより低いその声に、いつもより近いその声に、思わずぞっとする。
シカマルはまだ顔を伏せたままだ。
「 …何が だ 」
冷静に、冷静になれ。落ち着け、私。精神をコントロールするんだ。
忍が感情を表に出してどうする。
そうは思いながらもパニック寸前の頭。顔が火照りそうないきおい。
音が聞こえてしまいそうなほど強く、脈打つ心臓。
「 見送りを降りろ、だと?どういうつもりだよ 」
やっと顔を上げたシカマルの目の、今まで見たことないような真剣さに思わず息を呑む。
体が硬直して動けない。目が、そらせない。口が、麻痺していく。
幻術にでもかかったみたいだ。手をぎゅっと強く握る。
言え、はっきりと。
決めたのは自分のはずだ。
「 お、前が いつもめんどくさい、というからおろしてやったんだ 」
かろうじて発した言葉にいつもの自信と力強さはなかった。
とぎれとぎれのその言葉をきいてシカマルはピクリと反応する。
テマリの耳の真横に有るシカマルの手が、強く木を握る。ミシ、という音がした。
それでもテマリはシカマルから目がそらせない。
「 …本気でそうだと思ってんのか? 」
「 何、が 」
「 本気で俺がお前の見送りをめんどくさいと思ってるとでも思ってんのかよ?! 」
急に声を荒げたシカマルにテマリは思わず肩をビクリと上に上げる。
こんなシカマルははじめてみる。
初めての状態にどう反応すればいいのか全くわからなくなってしまった。
頭の中は真っ白だ。
「 …んだよ 」
悔しそうに、シカマルは再び頭をふせる。
「 お前は見送りが俺じゃなくて他の誰でも別にかまわないっていうのかよ 」
その言葉にはっと頭が思考を取り戻した。そして、気づいた。
いのが、見ている。
薄いがはっきりと感じる。門の影にいののチャクラ。
震えてるのか、感情の乱れまで読み取れるくらい切なげな感じ。
シカマルは頭に血が上ってしまっていて気づいてないようだ。
ダメだ、ダメ。
「 俺は… 」
ヤメロ
「 お前だから… 」
私はいのを、
「 めんどくさいなんて… 」
傷つけたくない。
「 そうだ。 」
今まで見たいな声じゃなくて、はっきりといつもの力強い声で告げたテマリをシカマルは驚いて顔を上げてみつめる。
その目はひどく傷ついた色をしていた。漆黒の瞳に、さらに影を。
「 誰であろうと 変わらない。 」
山中はいい子なんだ。とても、きれいで、可愛くて。
あんな笑顔で笑えるあういう、女の子っぽいこの方が、お前だってよいだろう?
忍というには穢れをしらない、あんな子のほうが。
傷つけたくないんだ。
山中も、 …お前も。
これ以上傷つけたくないから 今 傷つける。
今ならまだ、間に合う。
ぞくりぞくりと胃の裏からかきあげるような胸の痛みを押し込んで、
テマリは再び口を開く。
突き放せ、
そう頭が命令する。
「 私は別に見送りが誰であろうと関係ない。お前だろうが、ネジ上忍やカカシ上忍だろうが、なんら変わりはな… 」
突き放そうと思って考えたその言葉を最後まで言わせてはもらえなかった。
シカマルがテマリの口をふさいだからだ。
己のそれで。
「 ! ん…!! 」
抵抗しようと両手でシカマルの胸をおすと、シカマルはその両手をつかんで大木に押し付ける。
押し付けられた手首がミシミシと痛みを伝える。もう、どんなに動かしてもピクリともしない。
いつの間に、この男とこんな力の差が生まれていたのだろうか。
ばか、やめろ。
いのが、みてる!
そう力をこめて手首を動かしたのに、手首はそのまま動かず、シカマルはテマリの体に自分の体を押し当てて
できるだけ動きを封じる。
食いしばるテマリの歯をわってシカマルの舌が侵入してきた。
驚いてもがくも、テマリに抵抗のすべはなく、シカマルはテマリの口内を犯す。
次第に息苦しくなって、テマリの顔は紅潮していく。
その顔と、時折もれる普段のテマリの強い声からは感じられない甘い声に、シカマルは歯止めが利かなくなっていくのを感じた。
名残惜しそうに唇が一度離れる。銀の糸が二人をまだつないでいる。
「 はぁっ…ちょ、待て。やめ… 」
「 無理 」
鼻が触れ合うくらいの位置でそういうとシカマルは再びむさぼるかのようにテマリに口付ける。
そんな少し染めた頬と、息苦しさのせいで少し涙ぐんだ目と、甘い声で言われても、もうブレーキなんて利かない。
テマリの脳内からいののことが消える。
もう、何も考えられない。
がくがくしてきたひざを抱えてたっているのが精一杯。
感じるのはシカマルの舌と唇の感触だけ。
シカマルの唇が、舌が、テマリの頬へ、首へと移動する。
「 や、ちょ…ま て、 シカ マル…ッ! 」
テマリが抵抗の声をあげようとしても、出てくるのは甘い声だけ。
その声がシカマルをよりいっそうその行為にのめらせる。
テマリはうつろになりかけた瞳でシカマルの黒髪を見つめた。
両手首はいつの間にかシカマルの右手一本でまとめて押さえられていた。けれど、動かない。
シカマルの舌は徐々に下へ下がる。左手で、テマリの着物のあわせを緩める。
うつろなテマリの視線が泳ぐ。
流されてしまいそうになった、その時だった。
テマリの目に、シカマルの左肩がうつった。
テマリの翡翠の瞳が大きく開く。
そう、だ
突き放せ!
ドン!!!
抵抗を緩めていたテマリの突然の行動に、シカマルは思わず突き飛ばされた。
その目はひどく驚いている。テマリははぁはぁと肩で息をしながら、唇をぬぐった。
「 …調子に乗るな。 」
低く発したその声は、会った当初のような、人を拒むテマリの声色だった。
拒否と拒絶を含んだ、目。
その声が、その目が自分に向けられたことにシカマルはひどく驚く。
「 …迷惑だ。 」
そういうとテマリは着物のあわせを直して歩き出す。
シカマルは通り過ぎようとするテマリの腕をつかむ。テマリはゆっくりと肩越しにふりかえる。
その目は、冷たい。
「 なん、で だよ… 」
搾り出したシカマルの声に、テマリの心臓は一瞬大きくはねる。
しかし、その動揺を悟られては、ならないのだ。
だって
「 迷惑なんだ。やめろ。 」
「 俺はッ… 」
「 やめろ、離せ。 」
シカマルは反対にテマリの腕を握る手に力をこめる。テマリの白い腕が赤くなるくらいに。
「 聞けよ!!俺は、お前がッ…!!! 」
「 聞きたくない!!! 」
テマリの拒絶に、シカマルはビクリと動きを止めた。
傷つけた。
とっさにテマリは思った。
何を、あせっている。そうするつもりだったんだろう。
今、傷つけておくつもりだったんだから。
まだ、間に合ううちに。
シカマルは頭を下げて、テマリをつかむ腕を緩めた。
「 …そうかよ。 」
ズキン。
テマリの胸の中心が、えぐられたような痛みを伝える。
傷ついた、シカマルの声が、テマリの胸をえぐる。
「 なら、もう いい。 」
そのままシカマルはすっとテマリの腕を開放した。
そして向きをかえて里へ戻っていく。
そのまま、立ち止まって、振り向かずに告げた。
「 …じゃあな 」
いつもの「またな」という言葉ではない、二度と、会わない。
そんな意味を含んだかの様な言葉に、テマリは顔をくしゃりとゆがめた。
あまりの胸の痛みに、思わず手で強く着物のあわせを握る。
自分が、決めたこと、だ。
そう何度も言い聞かせて。
きつく歯を食いしばって、目を閉じた。
そのまま離れていくシカマルを目で追ってしまわないように。
…呼び止めて、しまわないように。
自分で決めたことなんだ。
傷つけたくないから
だから
今、傷つけるんだ。
…息ができないくらい胸が痛い。
思わずテマリはその場にしゃがみこんだ。
「 …っ… 」
シカマルが、強く握った腕がひどく痛かった。
前後のつもりがさらに長くなって前中後になってしまいました。
男の人って反則くらい力強いですよね。ホント。
ちょっとエロ要素はいってますが…大丈夫でしょうか。
皆様の反応が少し怖いです。
2006.8.09 ![]()
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