「 なんだと!? 」

がたりと机から乗り出して、火影が叫ぶ。
その前で冷静を装いつつも、シカマルはひっそりと額から汗を流した。
慎重に、言葉を吐き出す。

「 おそらく…間違いないです。どういうルートで入ってこれたのか全くわかりませんが、もうじき到着するでしょう。 」

信じたくなかった、信じられなかった。
俺が作った作戦と包囲網を、見事なまでにくぐりぬけて、砂の忍は木の葉の里の圏内に入り込んでいた。何度確認しても、どうやっても、これだけの数の砂忍がどうやって入ってきたのか、全くわからなかった。
こちらの配置や作戦を、最初から向こうに誘導されていたかのような、そんな違和感すら感じるほど。

「 すぐに里内に居る忍を集めろ、出来るだけ門前で食い止めろ。
  無理なら私が… 」

「 火影様!! 」


バタンと扉が開くと共に、シズネさんが飛び込んできた。
ああ、これでもう、だめだ。
驚くほど冷静に、そう頭が理解した。

「 きました、砂忍です! 」

「 ちっ、数は 」

「 完全に把握しきれません!
  里内の上忍は今日の作戦でほとんど出払っています! 」

「 すぐに向かえ、シカマル 」

きっ、と強い目がみえた。
断るはずも、断れるはずも、断るつもりもないけれど、

「 了解 」

そうしか、いえない自分が情けない。
他になにも案を考えられない自分が情けない。
何か他にないのかと、きっとそんな風にはならずに終れると

覚悟はしていたけど、そんな淡い期待もしていたことを、
今初めて自覚した自分が、

「 …わかっているな 」

あの日彼女が問うた、あの意味

「 …はい。 」

あの言葉が、どんなに大きな思いの元に語られていたのか、
理解していなかった自分が

「 はちあわせた場合は― 」

ひどく、なさけなくて泣きたくなった。

















 

( どちらも守りたいなんてエゴでしかなくて、 )










守りたい大切なもの。それらがすべて、「=守れるもの」にならないところが、人の哀しさだと思うんです。
2010.11