伍
「 なんだと!? 」
がたりと机から乗り出して、火影が叫ぶ。
その前で冷静を装いつつも、シカマルはひっそりと額から汗を流した。
慎重に、言葉を吐き出す。
「 おそらく…間違いないです。どういうルートで入ってこれたのか全くわかりませんが、もうじき到着するでしょう。 」
信じたくなかった、信じられなかった。
俺が作った作戦と包囲網を、見事なまでにくぐりぬけて、砂の忍は木の葉の里の圏内に入り込んでいた。何度確認しても、どうやっても、これだけの数の砂忍がどうやって入ってきたのか、全くわからなかった。
こちらの配置や作戦を、最初から向こうに誘導されていたかのような、そんな違和感すら感じるほど。
「 すぐに里内に居る忍を集めろ、出来るだけ門前で食い止めろ。
無理なら私が… 」
「 火影様!! 」
バタンと扉が開くと共に、シズネさんが飛び込んできた。
ああ、これでもう、だめだ。
驚くほど冷静に、そう頭が理解した。
「 きました、砂忍です! 」
「 ちっ、数は 」
「 完全に把握しきれません!
里内の上忍は今日の作戦でほとんど出払っています! 」
「 すぐに向かえ、シカマル 」
きっ、と強い目がみえた。
断るはずも、断れるはずも、断るつもりもないけれど、
「 了解 」
そうしか、いえない自分が情けない。
他になにも案を考えられない自分が情けない。
何か他にないのかと、きっとそんな風にはならずに終れると
覚悟はしていたけど、そんな淡い期待もしていたことを、
今初めて自覚した自分が、
「 …わかっているな 」
あの日彼女が問うた、あの意味
「 …はい。 」
あの言葉が、どんなに大きな思いの元に語られていたのか、
理解していなかった自分が
「 はちあわせた場合は― 」
ひどく、なさけなくて泣きたくなった。
二度とは戻らない日々
( どちらも守りたいなんてエゴでしかなくて、 )
守りたい大切なもの。それらがすべて、「=守れるもの」にならないところが、人の哀しさだと思うんです。
2010.11![]()