参
砂と木の葉の戦争が始まったのは、およそ半年くらい前だった。
原因はその前から少しずつ増えていた、反同盟派のテロ行為と、砂と木の葉が結びつくことを良く思わない他里の大名の介入だった。
それまでは、密かに片付けてきた。
互いの里の、本当に信頼のおける上層部の忍だけをつかって、内密に内密に事を処理してきた。テマリも、その要員のひとりだった。…必死だった、誰もが。
お互いの里の管理を徹底し、砂忍、木の葉忍にみせかけた他里忍のテロ行為も、すべて相手の里の本意ではない、忍の仕業ではないと理解し合ってはいた。事が露呈しない限りは、どうにかなると、どうにかしてみせると思っていた。
しかし、あまりにも行為が過激になり、多発するようになれば話は別だ。それまでは一部の反発派のせいだと思っていた人々も次第に煽られて「砂のせいで」「木の葉のせいで」「同盟のせいで」と、相手を恨むようになっていった。人の心理とは、そういうものだ。
小規模だった反発行為が、大名の物資支援や周りの反応につれられ次第に過激に、そして悪質なものへと変わっていった。
そして、ついに民間人に死亡者がでるという事態が起こってしまった。
砂は一度裏切りの経験がある。
一度揺らいだ信用をやっとのことで取り戻しかけていた矢先だった。積み上げるのはどんなに大変でも、崩れ去るのは脆くてはやい。あっという間に砂里への不信感が万栄し、(それも、他里忍のしわざであったと後に知れてももう手遅れだった。)それに対しての砂の不満や疑念の声もつのっていった。
そして、封がきられてしまった。
風影と、火影とのあの苦に満ちた開戦宣言は、どれだけの心を痛めたのだろう。
そして、俺たちのような砂と直接関わりがある忍たちは、どんな思いで知った顔と刃を向け合っているのだろうか。
想像もできない戦場の空気を思いながら、屋根上でタバコをふかす。
やめたはずのタバコに、戦が始まる少し前からまた手をだしてしまっている。
考えたくなくとも、考えてしまう。
いつか、いやもうすでに
俺が、友の誰かが、あいつが
あの時の、アスマの先生のように―…
「 シカマルッ 緊急連絡! 」
思考をさえぎるいのの声とともに、俺は飛び起きた。急いで屋根から降り、部屋にもどると、かなり電波の悪い声が入ってきていた。
「 どうした 」
『 …作戦の急遽とりやめを―…ざ、…ざざ… 』
嫌な、予感がした。遠くで「ぐあ」という声がして、すべてを切り裂くような
「 状況を説明しろ、C班か?! 」
『 …砂の…―… 』
ざ、ざざ、という音に息を呑みながら耳を必死で傾ける。「砂の」という言葉に、緊張する。
ああー、こういうときの俺の嫌な予感は、妙に的中するんだ。
『 ―風、姫― 』
最も聞きたくなかった、それでもすべてを切り裂く風の音に、もう頭は理解してしまっていた名を残して、無線はブツリと途切れる。
途切れる寸前に、遠くから
あの、俺を救ってくれたあの術を、
俺の仲間向かってはなつ、尖ったあいつの声がした。
「 シカマル… 」
いのが心配げに、不安げに見つめてきた。それに「大丈夫だ」と答えながら再び机につく。腕を支えにしていなければ立っていられないくらい、頭が重い。
大丈夫だ、大丈夫。冷静になるんだ。作戦を、読まれていたのか?それとも…
すべての項目を再びチェックしながら、イライラと頭をかいた。
「 …テマリ、さんなのかな 」
いのの小さな小さな声を、俺は聞こえないふりをした。
ことばはこんなにも無力だから
( いわなくてもわかってしまうのに いっても伝わらない )
捏造要素が強くなってきました。
里とか大名とか戦争とか仕組みはよくわからないので、フィーリングですみません。
2009.8![]()