行方知れずの













―― 空が、青い。

真っ青な空に白い雲が浮いている。

今日は風が、ない。


( 雲はいいよなぁ・・・ )


乾いた暑さを感じながらシカマルは釘を打ちつける音を聞いていた。

先日大蛇丸によってだまされた同盟国、砂の里が木の葉崩しを行った。
それによってダメージをうけた里は、今、恐るべきスピードで復興を続けている。

先ほどまではシカマルも建物の修理を手伝っていたのだが、休憩をもらい、いつもの”特等席”で昼寝をしようと横になったのだった。


( そういや・・・砂とは仲直りしたんだっけな・・・ )


砂漠の我愛羅、守鶴をとりつかされ、己の母の命と引き換えに生まれ落ちた同い年の少年。
それにおびえ続けていた兄と、姉。





「 シッカマルー? 」


高い声を響かせたイノと、その数歩後ろにお菓子を食べながらチョージがやってきた。


「 んだよ、うっせーな 」

「 何よー!せっかくお茶もってきてあげたのにぃー! 」

「 あー・・・メンドクセー・・・ 」


耳に指をつっこんでシカマルは起き上がる。となりにチョウジが座ってお茶をおいた。


「 今日は暑いね 」

「 ん・・・そうだな 」


湯飲みを手にとって一口ふくむ。渇いたのどにつめたい麦茶が気持ちいい。

だけど、なぜか乾きが癒えない。


「 ・・・・そういえばさぁー風影様って殺害されてたんだってねー 」


ずっと何かをしゃべっていたイノの言葉が急に耳に届いた。えらく、鮮明に。



( そうか・・・父親、も )



急にうかぶ、あの強気な翡翠色の瞳。
黄金色の、髪。


「 シカマル? 」


黙って動かなくなったシカマルの顔をチョウジが覗き込んだ。
自分が考え込んでいたことに気づいたシカマルは思わず、なぜか後ろめたい気持ちになった。


「 ん、ああ? 」


あわてて何もなかったように声をだすと、チョウジは何か意味深に微笑んだ。 


「 もう休憩終わりよー! 」


階段を下りていくイノの声を聞きながら立ち上がると、チョウジがシカマルを呼び止めた。


「 ・・・シカマル 」

「 あ? 」

「 ・・・最近、風が強くなったね 」


今日は風がなくて乾いた暑さだというのに何をいうのか、そう思ってシカマルは思わずチョウジの視線の先にある空を見上げた。





刹那、




突然 突風ともいえる強烈な風が吹いて、さっきまでじっと空に浮いていた雲が流れていくのが見えた。








――――ああ。






「 ・・・そうだな 」









シカマルは少しうつむいて薄く唇に笑みを浮かべた。

それを見てチョウジはさっきより優しく、笑った。





風はもう やんだ。

ホントに一瞬きりのその風は、それでも高い位置の雲を未だに流していく。




「 さて、いくか 」


残っていた麦茶を立ったまま一気のみすると、のどが一気に冷えていった。

潤いが、戻る。


「 うん 」



チョウジが立ち上がって先に階段へ、進む。

チョウジの姿が見えなくなったころ、また強い、風がふいた。

けれど木々は揺れていなかった。





( ―― まいったな。 )






     風 が ふく。







まるで、強風。 突然 俺の心に吹き荒れる、強風のように。





「 さて・・・俺も行くかな 」






雲はどこまで流れていくのか




再びふきはじめた風が 優しく頬をなでた。


































まだ恋までいかない感じ。ちょっと気になる程度。

2006.8.01