ti amo














「 好きだ。 」

「 …は 」

いつものように門まで送りに来たときだった。
突然テマリが顔を見つめるように、正面に仁王立ちしてくるものだから何を言われるのかと思えば、
テマリとは思えない言葉を口にしたことにシカマルは拍子抜けした。

「 好きだ。 」

「 …何? 」

「 好きだ、シカマル。 」

「 あ、いや… 」

知ってっけど…と言葉を濁すシカマルに、気にせずテマリはさらに続ける。

「 好きだ。 」

「 … 」

「 …好きだから。 」

「 …なんか、あったのか 」

今日はどこか落ち着きがなかった。
今朝里に着いたときから、なんとなく、なんとなくだけれどそう感じていた。
それは今ここで確信に変わる。付き合い始めて結構長くなるが、今まで
テマリから何の前触れもなくこんな言葉が聞けることはなかったから、明らかにおかしい。
強かった口調が、最後少し小さくなって、「だから」で歯切れ悪く終わる。
テマリらしくもない言動。

「 なぁ 」

「 …いえるうちに、言っておこうと思った。 」

そっと門から見えないように移動して、優しく諭すように抱きしめて、
というよりはテマリの体を包むようにしてやると、棒立ちだったテマリはゆっくりとシカマルの背に手を回した。
そして、強く、自分に引き寄せる。
顔を深くシカマルの胸に押し込んで、こもった声で、ゆっくり口を開く。

「 里にもどったら、超S級任務に就く。 」

「 …S… 」

シカマルは確認するように復唱して、テマリを抱く腕に力をこめる。

「 …命の保障は、無い。
  もちろん、任務は全うする。確実に、成功させてみせる。
  …だが、それと私が生きていることはイコールではない。
  生きていても、口をきけないかも知れない。シカマルに会いにくることは、できないかもしれない。 」

「 …どうしたよ。 」

いつもとは比べ物にならないくらい弱気なテマリにシカマルは少し困惑する。
女と思いつつ格好良くて強くて、追いつけなかったテマリが、声は確かにいつもの強い口調なのに、
内容が、えらく、らしく、ない。

「 …同僚が、先日任務先から運ばれた。この任務が無事終ったら、
  恋人に求婚するつもりだといっていた男が、運ばれて、息を引き取った。 」

「 … 」

「 …一時、死ぬ、間際、ヤツは意識を取り戻した。…なのに、 」

声がなかった。話せなかった。
恋人に、伝えられなかった、渡せなかった。ポケットに入ったままのリング。


「 私もそう、なるかもしれないと思った。 」

だから、出来る限り、伝えておきたい。

でも


「 それで足りるのか? 」

「 … 」

「 そんなもんで、お前の気持ちは伝えきれたか? 」


足りない。足りない。
こんなものじゃあ、全然。まだ伝えてない。まだ言い足りない。
言うだけじゃ、伝えきれない。


「 …俺はいわねぇからな。いわねぇ、から 」


ぎゅう、とシカマルは力をこめる。テマリもシカマルの服を、背中を、力いっぱい抱きしめる。


「 生きて…無事に帰って来い。 」


ああ、この男は 優しいようで時々残酷だ。


「 …後悔するなよ 」

「 お前だってこのまま死んだんじゃぁ後悔すんだろーが 」


する。絶対に。
やり残したことがあるんだ。沢山。
里のことも、弟たちのことも、お前のことも。
全部全部、やりきるなんて無理だから。

生きて、帰って


「 じゃ、行くよ。 」

「 おぅ。気ィつけてな 」


また、あなたに伝えましょう。


「 …シカマル 」

「 ん、 」

「 …呼んで 」

「 …テマリ 」


開きかけた口を、伝えかけた言葉を、摘むんで。

きっと、 生きて 帰って

またあなたに会った、そのとき 伝えるから。





どうしようもないくらい、あなたを愛しています。













































唐突に思いついた話。ちょっと切なめ目指して。

2006.12.01