興味深くてめんどくさい。
















「 やぁっぱサスケ君が一番かっこいいわよねー! 」

久しぶりに任務休暇がかさなった10班と7班は共に甘味どころで食事をしていた。

食事も食べ終わり、デザートでも、と思っていたころ、
いのとサクラのテーブルからそういう声がして、
サクラが「ねー」と同意するとすぐさまナルトが叫ぶ。

「 はぁーなんであんなやつがいいんだってばよ?! 」

「 女はエリートクールが好きって相場は決まってんだよ。
……一人だけそうじゃなさそうなやつ知ってるけど 」

いいながら、シカマルはがたりと席を立つ。自分のお茶代より少し多めに小銭をおいて。

「 シカマルどこ行くの? 」

「 …その一人をお迎えに 」

「 ぁ、今日砂の使者さんくるんだっけ? 」

「 テマリさんが来るわけねー!それは楽しみねーシカマルー♪ 」

…砂の使者=テマリってわけじゃねえだろ…。アイツだけど。

チョウジに向けて返した言葉に反応したいのが騒ぐ。
それも気にせずシカマルは出口へと歩き出していた。
が、

「 ぇ…テマリさんってサスケくんが好きなんじゃなかったっけ? 」

サクラのこの一言がシカマルの心を揺らがせた。
思わず立ち止まってしまったが、振り向かないままのシカマルに気づいたのはチョウジだけで、
いのとナルトはサクラに食いついた。

「 ちょ…それどういうことよー?! 」

「 そうだってばよ!!初耳だってばよ!! 」

「 え、だって初めて会ったときそんな感じだったから… 」

思わぬ反応に言ってはいけないことっだったか、とサクラがすこしと惑う。
それは立ち止まったシカマルの後姿がみえたせいかもしれない。

「 シカマル 」

チョウジの声に反応したシカマルはまたそのまま歩き出した。
いのが「どうするのよーシカマル!!」とふりかえったときにはもう店を後にしていた。
ただ、「めんどくせー」と一言のこして。






「 …ほんっとに… 」

門の前に立ってシカマルは頭をうなだれた。
さっきの言葉が頭をめぐって。アイツはそんなタイプじゃないと思ってたんだが。
がっかりした、というのか、予想外で驚いたのか、所詮、女なんてそんなもんか、とか
色々めぐって妙に頭をかきむしりたい衝動にかられた。

サスケ

今まで何度もサスケに向かって走っていくいのやサクラや他の女たちをみてはきたけど、
それは見慣れた光景で、
別にナルトみたいにキバみたいに、うらやましいと思うこともムカつくと思うこともなかった。
ただ、あんなによってきたら面倒だろうな、とか
俺じゃなくてよかったとか
確かにサスケはかっこいいよなーとか
思ってて、
特にすきでもきらいでもなかった。

だけど、今 妙に、

あのすかした顔に腹が立つ。

サスケは今ここにいないのだから
俺の中でのサスケの評価が今、かわるワケがないのに。
だけど、なんだか急に
胸にしこりができたみたいな気分になった。

それと同時にアイツがくる時間が近づくのが、
いつもは全く気にしてなかったのに、
…いや、少しは気にしていたが
別に思わなかったのに
ああ、もう。

はやく、来い。

んでもって真相を聞かせろ。

俺だってそんな話初耳なんだよ。

…っくっそー…


「 ほんとにめんどくせー、女… 」

「 誰がだ 」


つぶやきのつもりだった独り言に、考えていた相手の返答が帰ってきてしまったので、シカマルはひどく驚いた。
女は腰に手をあてて、仁王立ちしている。
翡翠の瞳と少しくすんだ金の髪を、俺は何日ぶりにみただろう。
いや、別にそんなにいつもよりは、何ヶ月も離れていたわけではない。
離れて、という表現は不適切か。別に一緒にいるべきものでもないのだし。
今は中忍試験の件でしょっちゅう来ているのだから、2週間ぶりくらいのはずだ。
現に、昨日火影からこの命を受けたときには「また来るのか」と思ったくらいだ。

だけど、なんだか妙に
懐かしい気がして
甘味どころから出てきて、門の前で待ってる間に何ヶ月も過ぎたような気がして、
しまった。

「 お前、いくら里の門前だからって、ちょっと油断しすぎだぞ?
  これだけ間合いがあったって人一人殺すくらい容易いぞ。 」

3メートルくらいの距離を歩きながら女はあきれたように言った。
俺はああ、と生返事をして門の中に招き入れる。


「 で?誰がめんどくせー女だって? 」

しばらく歩くと女はさっきの話を掘り返してきた。
もちろん本人にそんなこといったらとたんに機嫌が悪くなるはわかっているので、
俺はそれとなく探りをいれることにした。

「 いや、さっきまでいのとサクラがよーサスケサスケうるさかったから 」

「 ああ、 」

女は納得したようだ。あの二人のはしゃぎぶりは疲れるな、と前に言っていたから
きっと同意の意味だろう。
いつもはしないけど、俺はサスケって言葉を出したときに女の横顔を覗き見した。
まだ4-5cmしか変わらない(昔は7cmも負けていたのだから、まだいい方だ。)俺たちの身長だと相手の視線にもすぐ気づきそうなので、すぐにもどしたが、女の顔に変化はなかった。
少し安堵したのもつかのま

「 確かに、うちはサスケはいい男だな 」

女はさらりと言ってのけた。その言葉にひどく動揺した俺のことなんか一瞬たりともみずに、
別に何でもない風に言ってのけた。

「 …お前もかよ 」

できるだけ、いつもどおりに発したつもりだ。
まさか今胸でぐろぐろと渦巻いている正体不明の感情を知られるわけにはいかなくて、
俺はただの見送りで
そう、ただの、見送りで

ポーカーフェイスを保つのに一生懸命だった俺は女が俺の顔をみているのに気づかなかった。

「 …なんだよ 」

「 いや、ヤキモチやいたのかと思ってな 」

がー、俺の努力は全く無意味か。女は鋭い。妙なところにだけするどくて、ここまでは気づくのに

「 うちはサスケはもてるからな 」

まったく、的がずれることがある。

「 別にモテたいなんて思ってねーよ、めんどくせー… 」

俺はなんだかくだらなくなって、頭をかきながら女より先を歩くようにした。
だめだ、この女はほんとにメンドクセー。

「 ふぅん…。まぁ、私も最初はいいなと思ったけどな 」

言葉の語尾に逆説がついているのにもかかわらず渦巻くこのしこりを何とかしてくれ。
すこしずつ、すこしずつ大きくなっていくこのしこりを、どうにかしてくれ。
こんな俺は知らない。こんな感情は知らない。
こんな女も、知らない。知りたくない。

褒められた覚えなんてないが、自分以外の男の話をするこの女を見たくないと思った。
口からでるうちはサスケという名前がひどく気に障った。
うちはサスケ、とフルネームで呼んでいるだけまだ他人ぽくて安心できた。


「 …へぇ 」

「 でも本当に一瞬だったな。

  そりゃ顔はいいし、忍としてもそれなりだし、
  申し分ないといえばないんだが、

  でも、私にとってはそれだけの男だ。 」



ああー、俺ってこんなに単純だったか?

たった一言で急に軽くなる渦巻いた感情に、思わず顔が緩む。
女より先を歩いていてよかった。
女には決して見られるわけには行かない。

そういえば、珍しく女が饒舌だ。
自分から興味がない理由まで話し出すなんて今日は機嫌がいいのだろうか。

そして女は続ける。



「 私は、私に勝っていたくせにギブアップしちゃうような、

  めんどくさがりでも、自分のできること精一杯やって

  自分の失敗で仲間が傷ついちゃったことに泣いちゃうような、

  泣き虫くんのほうがまだマシだ、と思うが。 」


驚いて振り向くと女はいつの間にかすぐ横にいた。
驚いた俺の顔をみて、女は子供みたいないたづら顔でにーーっと笑う。
ああ、滅多に見れない女の笑顔。


「 興味がわく、だろう? 」

「 んっとに、めんどくせー女 」


女はその言葉に一瞬嬉しそうに笑って、すぐにいつものとおり怒り出した。
めんどくせーとはなんだ、ってな。

あれ?いつの間に火影室の前まで来たんだ?ちょっと前まですごく長く感じたのに。

ああ、俺ってもしかして

ものすごい単純だったりするんかな。


「 私は私に勝った男にしか興味がわかないな。 」

「 俺 負けてんじゃねーか 」

「 あんなものは勝利といわない。 」


いつもならそれでも負けは負けだろ、と思うところだが、今日はそういうことにしておいて欲しい。
今日は「お前に勝った男」とされていたい。
うちはサスケの名前を呼ばなくなって、俺を興味深いと笑ったお前が、
里の中で他のヤツといるのも、里の外で他のヤツといるのも、
みたくないなんて思ってる俺は、めんどくせーから無視してしまいたい。

胸に残ったしこりが、訴え続けるその感情の名前を、俺はもうしばらく「めんどくせー」だと思うことにする。

女の「興味」が「好意」に変わる、そのときまで。























































沙羅様遅くなってすみません。2000キリリクありがとうございます。
リクエストは【 やきもちをやくシカマル 】でした。
とても楽しんで書かせていただきましたが、リク内容の期待にそえているか不安です…;
でもシカマルは絶対嫉妬深いと思うのですよ。でもテマリさんはそのへんに鈍感、って感じがします。
テマリさんのお誕生日連載でもシカマルにヤキモチを妬かせているのでもしジェラシー系がお好きでしたら
是非そちらも読んでくださいね**
沙羅様のみ、お持ち帰りなどOKです。お好きになさってください。

2006.10.16