拍手小説。 春編。 2008.3

+++++++++++++++++++しか→てま 「 春風 」シカマル語り


ふと、目がさめてしまった。

今日は午後から任務だ。まだ起きる予定の時間まで1時間はある。
もう一度寝ようかとも思ったが、なんとなく寝付けなくて外にでた。

寝巻きに羽織った薄手の上着だけではまだ少し寒い春の朝の匂いが、なんだかひどく切なく感じた。


( …多分、 )


あの時の、あの頃の、彼女のことを想い出してしまうからなんだろう。
一緒に、というほどではなくても、共にあったあの頃の、春。

午前任務が始まる頃の時間になった。

ぶらぶらと歩いていたら、無意識に火影の建物にむかっていたようで、
足早に歩いていく人並みに紛れ込んでしまった。


それに気がついて、ひとり立ち止まる。

その場でゆっくりと空を仰いで、暖かくなり始めた陽の光を浴びながら
それでも春のぬくもりが恋しくて、強い風を待ちわびている自分がいた。

風が少し抜いて、まだ満開ではない桜の花びらが舞い上がる。
それに巻き込まれながら、彼女と見たあの春を、想う。

気がついたら、人のいない、彼女とだけ見に来た桜並木のある丘にいた。
そしてぼうっと、空と一緒に桜を眺めていた。



( 無意識に、面影追ってるじゃねーか。格好わる… )


こみ上げる思いは一体誰に届くのだろう。


そう想いながら、みっともなく一人で空を仰ぐ自分の姿を客観的に想像して、少し苦く笑う。
指先をつないで、こっそりと歩いた あいつにはもう、届かない。


あんなにも、あんなにも求め合った頃が、信じられないくらいもう昔の話で。
胸の奥で覚えていた痛みが、じわじわとにじみ出る。

春は、苦手だ。

あの人を思い出すから。



初めて知った。

あの人を想うことで、自分の中にこんなにも弱さと、それから強さが、潜んでいたことに。
もう一度空を仰ぐと、雲がゆっくりと遠ざかっていくところだった。少しずつ太陽が顔を出す。


アイツを忘れてしまう程の、想いが再びこの胸に溢れることはないだろうけれども。
そんな日が来ない限り、俺はきっと、この道は他の誰とも歩けない。
あの笑顔が、ささやかでも、少しでも隣にあった、あの日のように


舞い上がる花びらに吹かれて、あの人と見たハズの春の美しさを探す。
もっと、もっと、綺麗だったはずなのに。

同じ場所なのに、どうしてこんなに違って見える。
どうしてこんなに、広がる花びらが、寂しくみえる。


小さなつむじ風が、ひゅうと小さな音をたてて泣いた。
暖かくなってきた日差しの中で、すこしだけ冷たい風が頬をなぜる。



まるで、あいつのようだった。


暖かくも、冷たくて、それでいて、すべて包み込むような。



この風、は





「 テマリ。 」





びゅう、と強い風が吹いた。あまりにもそれが、狙ったかのように吹くものだから

うつむくまで気づきもしなかった。
自分が、泣いていたことに。

また、少しやさしく風が吹いて、頬がなぞられる。
つたった涙の後がすっと冷えて、その存在を強く意識させた。




(「 …泣き虫は、卒業したんじゃなかったのかよ 」)





( …なんて、な )



なんだかそう、言われてるような気がした。
まだ、もう少しだけ。上を向いて泣いてみようか。



なぁ、もしもこの風が、
あんただとするならば


 次の春も、ここで、吹いてくれるだろうか。




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こぶくろさんの「風」ベース。





拍手小説。 冬編。 2007.11

+++++++++++++++++++しかてま 積想(SS版/テマリ視点。)


気づいていないわけではなかった。


「 …寒いな 」

「 ん、ああ。 」


冬。今年いつもよりはやく降り始めた雪が、数cmつもった木の葉の里で、テマリは未だ降り止む気配のない雪空を見上げていた。
慣れぬ砂漠とは違う寒さに、顔は半分マフラーに埋もれている。耳も鼻も、頬も。無謀にも手袋をしていない(持っていないのかもしれない)指先も、すでに痛いくらい真っ赤になっている。


「 中、入ろうぜ 」


見かねたシカマルが声をかけるも、テマリは「お前は入ればいい」と、空から視線をはずさずに口にする。
はぁ、とひとつため息が聞こえた。それでも空から目が離せない。

「 俺はアンタのお付兼、見張りだぜ? 」

「 ん… 」 

「 おい 」

シカマルは時々無意識に指先をこすっては、体の冷えを我慢してまで空を見上げ続けている他里の忍が動くのを、猫背をさらにまるくして、コートに手をつっこんだまま、律儀に待っていた。
痺れをきらしてかけた声にも、暗に示した「自分ひとりではもどれない」という言葉にも、ほとんど生返事で。真っ赤になった白い肌が痛々しいのに、それすら守ろうともせずに


「 …もう少し 」


テマリは動こうとしなかった。


「 …さみーよ 」

シカマルの言葉が、身体的なもののみを示したものではないと理解して、しかし、わかったところでどうともできない。


「 …ん… 」


さっきの生返事とは違う。雪より彼に意識のいった声が、自分でもわかるように切なそうにでた。


暖めてもらうことなど、期待してはいない。
そんなつもりでここに立っているのではないと、きちんと彼も知っているから
何も言わず隣で待っていてくれたのだから。
寒さは感じていたけど、そこまで辛いものでもないのだし、それよりももう少しここにいたかった。

でも。
かけられた声に
少し、

里支給のコートにつっこまれたままの、大きな手を想像してしまう。
真っ赤になった感覚のない手が、少しだけ温い大きな手に、くるまれてゆくのを。

痛くて、冷たさよりも痛みがまさってきた指先に自身の息をふきかけた。
テマリは自分に付き合って冷えてしまった男の足の指と、鼻頭の赤さをみて、ふと思う。

「 お前だけでも体温調節しとけばよかっただろう。 」

これだけチャクラを操れるようになれば、微妙な体の体温の調節くらい、中忍や上忍には造作もないこと。
ここに立ちはじめてすぐ、男がいった台詞を思い出してそう告げると、男はくるりと進み始めた足をとめて顔を背けた。


「 …それじゃあ、アンタがどれだけ冷えてるか、わかんねぇだろ。 」


一瞬意味をとり損ねて、それから寒さを忘れた。
さっきまでとは違う意味で顔が、頬が赤くなる。
痛いのとは違って、あつくて、なんて暖かい赤。

私の体がどれだけ冷えたかわかるように、自身も同じ寒さを感じていただ、なんて

それは、それで、
女が寒さに耐えてんのに、男一人があったまっていられるか、とか
男だ女だの、彼の癖で、言うのかと思っていたのに。


―アンタが


優しくて、暖かくなる。心が、温められてしまう。
確かに自分は、体を気遣うことも忘れるくらい、雪に心奪われていたけれど。

背を向けたシカマルの、ほのかに見える耳と頬が、少し赤いのは寒さのせいかもしれないけれど


「 …じゃあ もう少し大丈夫だな 」

「 …めんどくせー 」


10cmほどあけて向かいあわせた背中が、ひどく暖かく感じたので、
まだ、もう少し このままで。


― 感じておきたいんだ。この里の冬を、雪を、

― …お前とすごした、この時を。

― この寒さと、一緒に。


不器用だけど、せいいっぱいの、


  ― Merry Christmas. ―



+++++++++++++++++++++++++++++++++++++
まだまだ降り積もる、雪と一緒に この想い。







拍手小説。 Birthday前編。2007.09(novel頁に収納。)







拍手小説。 春編。2007.03

+++++++++++++++++++シカテマ 春一番

「 春一番? 」

「 そ、立春後にふく強い風。
  コレが吹くと春かー、って思う。 」

「 そうか。 」

春、一番か

私も、これからこの里の季節を変える春一番のように、
暖かい、春を運んでくる春一番のように、

私の、弟たちの、大切な里の春一番に、なろう。

そしてあわよくば、お前の

「 ま、俺にとってはアンタだったけど。 」

そうつぶやいた独り言を聞き逃しはしなかったけれど、

「 え? 」

「 いや、別に 」

けれどまあ、

「 …私もだよ 」

この独り言にアイツが気づいているように、
お互いまだ知らぬままのふりをしよう。

春一番がそよ風に変わるまで




+++++++++++++++++++シカテマ2 夢桜


生まれて初めてみた桜が、散っていく。

「 儚いものだな 」

夢も桜も。

「 だからこそ綺麗なんだろ 」

「 一時の美しさなんて好まないな。 」

だからといって、永遠に美しいものなんてないのだけれど。


「 そんな皮肉に考えるなって。散っても、死んだわけじゃねぇんだ。

  この桜は、花が命じゃないんだ。花じゃなくて幹がこの”桜”なんだからよ。

  生きてて、来年も再来年も、また、咲く。 」


同じようには決して咲かないけれど、
でも同じ命であるから

夢も

ちってしまっても、夢が私なわけじゃない。
夢をもつ私が私であって、

そんなことを言いたいのだろうか。この男は。
何処までよまれているのかわからないままの距離を、いつも保っている。


「 …夢も桜も、やっぱりあまり好きじゃない。 」


未来を縛るのは好きじゃない。
夢も桜も、今散っていく姿が最初であって、最後である。

今日が最後だと思って生きてきた。
常に今が最後の時だと思って。

だから散っていく桜に、哀愁を感じたことなんてなかったのに

私らしくも無い。


「 …お前のせいだ。 」

「 は?何がだよ 」

「 なんでもだ。 」

「 …めんどくせーな… 」


今年の夢が、散っていく。








拍手小説。 新年編。2007.02

+++++++++++++++++++シカテマ ヴァレンタイン


「 バレンタインチョコ? 」

「 そ。めんどくせーよな… 」

片手に2,3コ持ったチョコレートなんて、軽いもので。
持ってることを忘れるくらい軽いもの。
本当はその場においていきたくらいだ(チョウジが楽しみにしてるからもって帰るけどよ)

「 2.3個ってところが妙にリアルだな 」

「 リアルって? 」

「 沢山もらうのはミーハーな奴らが多いようなもんだろ?

  …でも2.3個って本気の可能性のほうが高いじゃないか。 」

「 そーかぁ? 」

めんどくせー、めんどくせー。
どうせ本当に欲しいものはもらえないのだから、こんな日は無ければいいのに。
今まではそんな風にも思わなかったこんな日に、こんなにも心を揺さぶられる。
だって、女はこんな日知らないのだから。

「 …はぁ…めんどくせー… 」

「 なんだ?折角もらったのに浮かない顔だな。 」

「 俺はもともとこんな甘いもん好きじゃねーんだよ。

  …ていうか本来バレンタインっつーのは、男が女に花を贈る日だろ 」

「 そうなのか? 」

「 そー。何を間違ったか逆になっちまってるけど 」

「 へぇ… 」

「 まァ…やっぱ男からだよな 」

告白するなら。告げるなら。
俺から、男からいいたい。けど、まだそんな度胸はねぇし。
男らしくねぇけど、まだ時期尚早だろうと、思う。

「 …じゃあこれはいらないか? 」

女の言葉に振り向く前に、女からは小さな小さなビターチョコレートが差し出された。
手のひらにのるような、駄菓子屋の、チョコ。

「 さ、サクラに、今朝聞いて…。

  世話になった相手にやる”義理チョコ”っていうのもあるらしいじゃないか。

  だ、からお前には一応… 」

と、思って…と続ける女の顔は、言い訳が全く無駄になるくらい真っ赤に染まっていて、
こんな、小さなチョコなのに、俺の手のひらはすごく重たく感じて。
絶対落とさないように、と手のひらが緊張しているのを感じた。こんな、強く握ると溶けてしまうかもしれないくらい小さなチョコに。

「 いらないなら、別に、秋道にでもやってくれ。 」

「 チョウジにこんなちっこいのやっても仕方ないだろ 」

そういって、包みを開いてチョコを口にいれた。
ほのかに甘く、ほのかに苦い。
まさに、今の俺と女の関係みたいなビターチョコ。

「 っと、じゃあ俺もこれくらいにしとくか。 」

小さなビターにふさわしい、
小さな野花を一本、女に贈った。

「 …来年は、ちゃんと用意してくるよ。 」

女はそういって、すごく、大きく笑った。

「 …おう、俺も 」

めんどくせーけど、来年は
両手いっぱいの花を贈ろう。

今はまだ、俺と女は

小さな野花と小さなビターチョコの関係。






拍手小説。 新年編。2007.01

+++++++++++++++++++シカテマ 新年の決意


「 年があけたな。 」

「 ん…ああ 」

「 去年は本当に何もない一年だった。 」

「 何も? 」

「 ああ。何も。 」

「 …いーんじゃねぇの?平和で 」

「 のんきだな 」

「 何かあんのもめんどくせーし。 」

「 平和は不安だ。もうじきくる、嵐の前の静けさのようで。 」

いつか壊れてしまう。
それが前提の、平和。

「 …めんどくせーのはごめんなんだがな… 」

もうじきあの事件から2年。否が応でも私たちは巻き込まれていく。
暁と尾獣とうちはとうずまき。木の葉と砂と、忍たちの戦。

「 しかし、そのために強くなった。 」

「 … 」

「 私も、お前も、木の葉の人達も。 」

「 …ああ 」

「 我愛羅も、カンクロウも。強く、なった。優しく、…なった。 」

だから、負けない。
優しさをもった強さはきっと、負けないから。

「 もうじき帰ってくるうずまきナルトも、きっと強くなってくる。 」

もちろん、相手も。

「 もう裏切らないから。 」

「 …! 」

「 なにかあったらいいな、泣き虫くん。 」

「 …へ…これだから女ってやつは。 」


泣いてもいいよ。泣いてもいいんだ。

強くなった泣き虫は、泣かない強さより強い。

その涙を潤いに変えて。
こぼれてしまった涙の乾きを潤すために、また君は強くなる。

きっと、そう。
今年という年が、強くなる。







拍手小説。 師走編。2006.12

+++++++++++++++++++シカテマ クリスマス


「 雪が見たい。 」

「 は? 」

「 だから、木の葉は雪が降るんだろう? 」

「 ああ、砂では無理だろうな 」

「 だから今年は雪が見てみたい。去年は解け残りしか見られなかったから 」

「 んなこといったって雪なんてそうそう降るもんじゃねーぞ 」

「 む…降ってるところがみたいんだ 」

「 みたいんだ、っていわれてもなぁ… 」

「 シカマルは好きじゃないのか、雪。 」

「 俺はすべるし雪かきあるし、めんどくせーって思うけどな 」

「 …そうか 」

いつからか雪を見たときのあの心弾むような思いをなくした。
夜降り始めた雪を、朝積もらないかと心待ちにしたのはいつのことだったか。
朝降り積もった雪の世界が、まるで別の空間のようで、心躍ったのはいつのことだったか。

いつから、俺は

「 じゃあ、降ってるところは好きか? 」

「 は? 」

「 だって今のじゃ積もった後だろ?降ってるときはどうなんだ? 」


そんな話をしたことを夢でみた。
そういや、そんなこと言ってたっけあいつ。

肌寒さを感じてカーテンの隙間を覗く。そこには一面雪景色。

あ、まだ降ってる。

今日は、あいつが来る日なんだ。

まだ、降り続きそうな雪をみて、俺の心は弾んだ。

この調子ならアイツも見ることが出来そうだ。
あいつはどんな顔をするのか、嬉しそうに笑うのか


「 嬉しそうだな 」

アイツが俺をみてそういうもんだから思わず足を踏み外した。
そういうアイツの顔だって、なれない寒さで鼻も耳も頬も真っ赤なくせに、
すっごく嬉しそうで。

ああ、俺は

雪が嬉しいのか この笑顔が嬉しいのか

ただ、確かなのは

この笑顔をくれた

雪に感謝したこと。


「 ホワイトクリスマスなんて柄じゃないな、私たちは 」

「 …ん、まぁな。 」

「 でも 」

手袋をしたまま、まだ、素肌はなれないから。

手袋をしたまま、俺たちは手を、つないだ。


「 見れて、よかった。今日この日、この地で、お前と、この雪を。 」


大人びて微笑んでそんなふうにいうもんだから
俺は

雪も悪くないなんて
柄にもなく思って、


「 …ああ 」


柄にもなくついでに

そいつにキスをした。 



+++++++++++++++++++シカテマ2 大晦日


「 今年ももうすぐ終わりか 」

「 んー、ああそういやそうだな 」

「 これで4年、か 」

「 何が? 」

「 木の葉と同盟組んで、だよ。 」

「 …ああ、そんなことか。 」

「 そんなこと、ってお前な。 」

「 そんな期間いちいち気にしてねーよ、めんどくせぇ 」

「 …長い、方だ 」

「 は? 」

「 砂の同盟としては 」

「 …あ、そ 」

「 組んでも組んでもすぐ破棄してしまう。すぐ、戦になってしまう。 」

「 … 」

「 あと、何年…もつのか 」

「 めんどくせー… 」

「 めんどくせーって、お前な 」

「 アンタ年暮のたびにそんなこと考えてんのか? 」

「 …お前にとってはそんなことでも私にとっては大事なことだ。 」

「 …あー、もう。めんどくせーな 」

「 ―! なっ、何する。離せ 」

「 いやだ。 」

「 奈良 」

「 めんどくせー…。 」

「 奈良 」

「 …… 」

「 …シカマル 」

「 へい 」

「 …お前って 」

「 ? 」

「 時々頑固だな 」

「 あー…、そうだよ。だからな 」

「 ん 」

「 同盟がどうなろうと 」

「 … 」

「 …俺は時々頑固、だから 」

「 … 」

「 変わら、ない…から 」

「 …ああ 」

「 あー、くそ。キャラじゃねぇっつの 」

「 はは、そうだな 」

「 あー…くそっ 」

「 …シカマル 」

「 あー? 」

「 …私も、頑固だから 」

「 …知ってる。 」

「 なんだと 」

「 だから? 」

「 だから、…来年、も 」

「 … 」

「 同盟がどう、なっても 」

「 … 」

「 めんどうでも 」

「 …; 」

「 こうしていて 」

「 ……ああ 」


わかっていた。なんとなく。

個人でどうなる問題でも、ないから。
頑固だろうがなんだろうが
きっとこの先俺たちはこの問題に翻弄されていくから。

だからせめて
今はこうして

どうか、

ただの 頑固でいさせて。







拍手小説。 ハロウィン編。2006.10

+++++++++++++++++++シカテマ ハロウィン

「 トリック オア トリート 」

「 …なんだ、それ 」

「 さっきいのに教えてもらった。ハロウィンとか言うものだ。

  砂にはないが、木の葉ではやるんだろう? 」

「 めんどくせーことを… 」

「 それで、お菓子をくれなかったらいたずらをしてもいいそうじゃないか。 」

「 …じゃあ今日は、てか今日も、か。甘栗でも食ってくか 」

「 いや、いい。 」

「 は?菓子が欲しいんじゃねぇのかよ? 」

「 いたずらがしたいんだ、私は。 」

「 はぁ?なんだよめんどくせーな… 」

「 シカマルはしたくないのか? 」

「 何をだよ 」

「 いたずら 」

「 …… 」

「 ん?どうなんだ? 」

「 …あー、めんどくせー… 」

「 なんだ、めんどくさいのか。じゃあ… 」

「 trick or treat 」

「 え? 」

「 正しい発音。 」

「 そうか、trick or treatか 」

「 いのから聞いたんだろ?それじゃ伝わらねぇよ。 」

「 そうか 」

「 って、ことで 」

「 ? 」

「 言ったの、俺が先だよな? 」

「 …それはずるくないか? 」

「 そうか? 」

「 そうだ、ずるい。 」

「 まあ、気にすんな 」

「 お菓子、か。飴ならあるぞ。甘いし、うまい。 」

「 俺はお菓子よりいたずらの方があまい気がするけどな 」

「 …あまいものは苦手なんじゃなかったか? 」

「 あんたは別さ 」


いたずらをしよう。お菓子よりも甘い君に。

いたずらをしよう。あきるまでずっと。

いたずらをしよう。きっとそれは


君だけへの愛情表現。 







拍手小説。 秋編。2006.9

+++++++++++++++++++シカテマ 敬老の日


「 シカマル 」

「 あー? 」

「 お前肩はこっていないか? 」

「 は?何いきなり… 」

「 なら、荷物をもってやろうか? 」

「 はぁ??どうしたんだよ、お前 」

「 だって今日はお前を大事にしなきゃいけない日なんだ。 」

「 ????? どういうことだよ 」

「 今日は9月の第三月曜日だろ? 」

「 ? ああ。 」

「 敬老の日じゃないか。 」

「 ・・・・・・・は? 」

「 私には祖父も祖母もいないから、一番身近で老人くさいお前を大事にすることにしたんだ。 」

「 …んな、勝手な 」

「 いいじゃないか。ホラ、何かないか 」

「 …別に何にもしてくれなくていいって 」

「 それじゃ私の気がすまない。 」

「 じゃあ、昼寝に付き合って、後で将棋でもうってくれよ 」

「 それじゃいつもと変わらないじゃないか 」

「 いいんだよ、それで 」

「 ? 変わった奴だな 」



何もなくてもいいんだ。

お前がいれば。

願うならば、何十年後もこうして

一番身近な老人を

互いに大事にしあえることを

願うけれど。 




+++++++++++++++++++シカテマ 2  夏の残り香


「 …あ 」

5日ぶりに任務から戻って、自分の部屋を見渡したときだった。
ふと、目に入った。この夏アイツとやり損ねた花火。

過ぎてしまった夏を思わせる、夏の残り香。
過ぎてしまったお前のいない夏を思わせる、夏の残り香。

約束したのに。
一緒にやることができなかったアイツの好きな、花火。
次アイツが来る頃にはしけってしまうだろう、花火。

「 …結局またダメになっちまうな 」

いつになれば花火がしけらないうちに会えるのだろうか。
いつになれば花火を共にともすことができるのだろうか。
いつになれば花火をいつでもそばで見つめていられるのだろうか。

いつになれば

「 会えん…だろうな 」

線香花火に一人で火をともす。
まだしけっていないはずなのに
火が、つかない。
君がいないと つけられない。

「 …くっそ… 」

花火を見た君が、忘れられなくて。
毎年用意してはしけっていくのだ。

俺の心も花火のように

しけってくれたら、楽なのに。

いつまでも火はともったまま、
線香花火のように

最初は静かに

次第に激しく

落ちることなく

燃え続ける。

ああ、花火。

泣きたくなるほど


「 綺麗だな 」


もっとも聞きたくて

狂いそうなくらい会いたくて

そんな奴が急に目の前に現れてもみろ。

動くな、って方が無理だ。


「 あ、お前、もったいないじゃないか!折角きれいだっ… 」


最後までは言わせない。
綺麗だった、なんていわせない。

落ちてないんだ、俺の花火は

まだずっと激しくはじけてるんだ。

過去になんか、ならない。

過去になんか、できない。


「 ―会いたかった 」

「 …私もだ 」


いつ無理やり水をかけられるかわからない。
いつ強制的に消されてしまうかわからない。

けれど、俺たちは互いの光を求める。

激しく

静かに

燃え続ける。


たとえ水をかけられても

落ちない自信が、あるんだ。

たとえ水でくるまれても

しけらない自信が、あるんだ。

俺の

お前の

線香、花火。






拍手小説。 夏編。2006.8

+++++++++++++++++++++++++++++シカテマ


「 暑ィー… 」

「 だらしないな、このくらいで 」

「 このくらいって…30度余裕でこえてんぞ 」

「 砂はもっと暑い。 」

「 はーそうですかっと、 」

「 ぬ… 」

「 待ったなしだぜ? 」

「 わかっている!! 」

「 あー…あちぃなー… 」

「 …… 」

「 あちぃー… 」

「 …… 」

「 あー… 」

「 うるさい!ちょっと黙っていろ!! 」

「 早くしてくれよ 」

「 …私が涼しくしてやろうか? 」

「 …遠慮しときます。 」

「 テマリちゃんースイカ食べるー? 」

「 あ、すみません。いただきますー 」

「 …俺にはねぇのかよ 」

「 なに拗ねてるんだ 」

「 … 」

「 欲しいなら私のを食べればいいだろう。ホラ 」

「 シカマルの分もちゃんとあるわよー 」

「 …いらねっつの 」

「 違ぇよ、こいつはテマリちゃんの食ったスイカが食いてぇんだもんな? 」

「 うっせえよ、親父 」

「 あーおあつい事で。 」

「 おい、シカマル!お前のばんだ! 」

「 あちー… 」



俺の暑い夏はまだまだ続きそうだ。