拍手小説。 新年編。2007.02

+++++++++++++++++++ネジテン ヴァレンタイン


「 はい、ネジ。 」

「 … 」

「 何よ、ありがとうくらいいなさいよー 」

「 …テンテン 」

「 ん? 」

「 これはなんだ? 」

「 何って? 」

「 …バレンタインは普通チョコレートを贈るものだと聞いたが? 」

ネジの手にかたく握らされたそれは、

「 何だ、ネジ知ってたの?! 」

リーやガイがもらったチョコとは違って、小さな飴だった。

「 …それくらい知っている。 」

まさか、気になっていたとは言わない。いえない。

リーが、もらった袋だとか
他の後輩たちがもらった袋だとか

お前が持っているその、大きめの箱だとか


「 やだ、知らないと思ったから… 」

テンテンはそういって少し頬を染めた。その箱は、誰の手に渡るんだ。
そう思ったら箱をたたきつぶしてしまいたい気分だった。

「 仕方ないわ、さ、食べましょ。 」

いそいそと、彼女は箱を置いた。そして大げさな身振りで開く。

「 頑張ったんだからー。でもあんまりよくできたから一緒に食べたいなー、って 」

少し上目遣いで、少し恥ずかしそうに、彼女はそういった。
綺麗に焼き上げられたブラウニーがほくほくと、いいにおいをさせていた。

「 ネジ向けに、甘さ控えめにしたから 」

小さく笑った彼女が差し出した、俺向けに焼かれたというブラウニーは
とても 暖か、かった。






拍手小説。 新年編。2007.01

+++++++++++++++++++テン→ネジ 正月


「 あけましておめでとう。 」

それすらもいえない。それすら許されない。
あなたは今どこにいるのでしょうか。
あなたはこの広い家のどこにいるのでしょうか。

「 いいんですか、テンテン 」

「 いいの、やっぱり場違いな気がするもの 」

いつもはずうずうしさなら鬱陶しいくらいに負けないのに。
いざ目の前にすると大きすぎるネジとの差。

巨大な門は、決して飛び越えるのは苦じゃない高さなのに、見上げるたびに大きくなっているよう。
ため息をついては見上げる門はどんどん高くなって、まるでネジと私の境界線のハードルみたいだから。
超えられない。超えることができない。

「 いこ、リー。 」

いつか必ず、越えてみせる。
この高さを超えて、あなたの元へ。
上忍になったら、きっと。

「 今年もよろしくね、ネジ。 」

触れた門はとても冷たかった。けれどなんだかどこか暖かくて。

誰よりも先に、一番にそう、面と向かって伝えられるようになってみせるから。

だから今は門の前で。





+++++++++++++++++++ネジ 正月


気づかなかったわけじゃない。会いたくなかったわけじゃない。

「 いいんですか、テンテン 」

「 いいの、やっぱり場違いな気がするもの 」

いつもなら鬱陶しいくらいにそばにいて、ちょこまかしているのに
いつもなら暑苦しいくらいにしつこくて、向かってくるのに

「 いこ、リー。 」

「 …テンテン 」

少しずつ、離れていく。2人の気配。

いつもより控えめで、小さな声の、お団子。
そのお団子を心配する濃いけど、優しい努力家。

ああ、今までは気にしたこともなかったのに。
運命に抗えると知ったあの日から、いや本当はもっとその前から。
俺は彼らと共に、彼らの中に、いる。彼らが俺の中に、いる。


知ってしまった。

リーが来る前から、年が明ける前から、ここに立っていた。
白眼なんて使わなくてもわかってしまった。

「 …ネジ兄さん… 」

「 すみません、今行きます。 」

離れていく二人の気配。目の前の、ほんの小さな、飛び越えるなど片足で足るような門。
けれどそれが妙に高くそびえていて。
俺からゆくべきではない。きっといつか彼らが超えてくる。
だから俺はもっとさらに高みへ上る。追いつかれたい、けれど決して追い抜かしたりさせない。

そっと、いつもよりいい着物の袖から腕をだす。
ゆっくりと触れると夜の冷たさの中に、ほのかに木のぬくもりを感じた。

「 今年もよろしくね、ネジ。 」

小さいけれど、しっかりと聞こえたその声は、すっと耳に落ち着いた。

ああ、年があけた。
新しい年もきっと

彼らと共に、俺は居る。






拍手小説。 師走編。2006.12

+++++++++++++++++++ネジテン クリスマス


「 今日はめりーくりすます、ね!ネジ 」

「 …別に俺たちには関係ないだろう 」

「 そうだけど、いいじゃないの!お祝い事は皆で祝うべきだわ♪ 」

「 …そういうものか 」

「 そーよ!で、ネジなんか欲しいものないの? 」

「 欲しいもの? 」

「 そ、欲しいもの!くりすますぷれぜんと、よv 」

「 …そういうものは事前に用意するものではないのか 」

「 だってネジ何が欲しいかわからないんだものー!
  リーには新しい縄跳びでしょ、ガイ先生にはダンベル!2人ともノルマ付でv 」

「 …… 」

「 何、どしたの? ネジ 」

「 …いや 」

クリスマスは家族で過ごすもの、恋人とすごすもの、人によって観念は違うものだけれど
ただ、決まってそれは

「 そうだな、稽古の相手でもしてもらおうか 」

「 えー!それじゃいつもと変わらないじゃない!
  色気もないわー!そんなんでいいの?! 」

ダンベルや縄跳び(ノルマ付)は色気があるのか、テンテン。
それもいつもと変わらないものだろう。そうは思うけれど

「 …色気があって、いつもと違うものがいいのか。 」

「 え? 」

決まって、それは

「 ネ… 」

とてもとても
大事な人と、大切な人と、過ごす日だから。

「 ありがたく、いただいた。 」

いつも無邪気に駆け抜ける君の、
たまにはそんな真っ赤な顔も
たまにはそんな恥らう姿も

「 …ばか。ふいうち… 」

みていたいと思うから。

「 …大スキよ、ネジ 」

ああ、全く。

たかがイエスの誕生日だというだけで、

こんなことを 思う、なんて

いや、今日だけではないのだけれど、

けれど

本当に、全く

今日の俺は

どうかしている。





拍手小説。 秋編。2006.9

+++++++++++++++++++ネジテン 読書の秋、食欲の秋


「 …テンテン 」

「 なぁに?ネジも食べる? 」

「 いや、いい。 」

「 そーぉ?おいしいのに。それよりネジは何読んでるの? 」

「 父上の書斎にあった本だ。おそらく里の歴史書だな。 」

「 へぇ〜…なんか頭痛くなりそう。ネジは読書の秋、って感じだね 」

「 そういうお前は食欲の秋、だな。 」

「 そーねー…だって秋っておいしいもの沢山あるんだもの! 」

「 そうか。 」

「 今度狙ってるお店があるのよ!ネジ行かない? 」

「 俺はいい。 」

「 そう?なんか、ネジって食に対しての関心が薄いわよね。 」

「 そうかも知れないな。 」

「 じゃ、仕方ないなー。リーに聞いてみよう。 」

「 …何をだ 」

「 え?ついてきてくれるか、だけど?

 だってそのお店、女一人では行きにくいんだものー 」

「 …行く。 」

「 え? 」

「 俺が、行く。 」

「 ええ?珍しい!ネジも食欲の秋に目覚めたの?? 」

「 …… 」

「 まぁいいわ!やったv楽しみにしてるから! 」

「 そうか 」

「 そうよ!ネジと行けるんだもの!楽しみだわ♪ 」

「 … 」

「 何?あたしなんか変なこと言った? 」

「 …別に。 」



紅葉に負けないくらいに、頬を染めて。
それでも簡単にそんなことをいう。
とてもかなわない。

俺の心まで食らう、食いしん坊。

他のものはいらない。
けれど、

お前の心だけは、食らいたい。

食欲の、秋。






拍手小説。 夏編。2006.8

+++++++++++++++++++++++++++++ネジテン


「 よぉし!次は里内逆立ち20週だー!!リーよ!! 」

「 はい、ガイ先生!! 」

日中一番暑い時間帯にわざわざいつもの暑そうな全身タイツのまま、チームの担当上忍と同期の仲間は走り出す。
それをネジは木陰に座ってみるともなしに見ていた。

「 この暑いのによくやるわねー 」

うしろから現れたお団子頭のテンテンに驚きもせず、テンテンが差し出した水を受け取る。

「 ネジは休憩? 」

「 ああ 」

「 それにしてもほんっと、今日は暑いわねー 」

「 そうだな 」

「 …と、言う割にはネジは暑そうには見えないわね 」

「 そんなことはない。 」

「 じゃ決まり!いこ! 」

テンテンはおもむろに立ち上がってネジを誘導する。
ネジは何のことだかわからないままに早く、と促すテンテンについていく。

「 とりゃー!! 」

テンテンについていった先のがけからは湖でナルトやらキバやら一期下の下忍達がはしゃいでいるのが見えた。
テンテンは靴を脱いで準備運動を始める。その様子をただ見守っていると、

「 ほら!ネジも行こうよ 」

ふりむいてテンテンが笑った。遠くに見える湖の水は太陽の光が反射して、まるで宝石のようにきらめいていた。
それでもうごかないネジをみて、テンテンはおもむろにどこからか綱つきのクナイを取り出して投げた。

「 …なんだ 」

そのクナイを手でとめたネジを満足げにみて、テンテンは思いっきり綱を引く。
少し引かれて手を離そうとすると、離すより少し早く、テンテンが直接ネジの手を引いて湖へ飛び込んだ。

「 ぷはっ!! 」

きらきらと宝石を反射させて、テンテンが湖から顔を出す。
そのテンテンをあきれたように見返すネジに、テンテンはすこしばつが悪そうに笑った。

「 でも、涼しくなったでしょ? 」

そういうテンテンの笑顔は年相応の少女らしかった。

「 …ああ 」

ネジの心はまだ、夏には程遠い。
けれど確実に、涼しさよりも火照りをましていく。

君という夏が、いつか来る。確実な予感。