拍手小説。 新年編。2007.02

+++++++++++++++++++キバ→ヒナ ヴァレンタイン


きっとそのまま

ほら、やっぱり

通り過ぎてしまう金髪を、見つめることしか君にはできなくて

見つめて悲しそうな顔をしているのだろう君を、俺は見守ることしかできなくて

泣き出してしまえば、泣いてしまえば

何泣いてんだよ、って頭をぐしゃぐしゃにするくらい、出来るのに

君は泣かない。泣いてくれない。

泣いてくれない君の前に、現れることは、俺には出来なくて

俺は、ただ

君がくれた班員と同じチョコを

口にほおばる。


「 …にっげぇ、の… 」


甘い甘いミルクチョコレート。

俺の想いで苦くなる。


「 くぅん… 」

「 …赤丸にはやんねーよ。チョコ食えねえだろ。 」


たとえ食べれても。

ごめん、あげられない。

皆と同じでも

君からもらったチョコだから。









拍手小説。 師走編。2006.12

+++++++++++++++++++キバヒナ クリスマス


「 はぁー…息が白くなるね、キバ君 」

「 ああ…今日は寒いしなー赤丸連れてくればよかったなー 」

「 ? 」

「 ほら、赤丸にくっついてればあったかいじゃんか 」

「 あ、うん。そうだね 」

「 …ヒナタ 」

「 ぇ、わっ、あ、な、何?!キバ君… 」

「 手ぇ、冷たい 」

「 あ、う、うん。私ちょっと冷え性で… 」

「 手袋もってこなかったのかよ 」

「 あ、えと… 」

「 …ったく 」

「 …あの、 」

「 ん 」

「 …なんでも、ない…です。 」

「 …ん 」

たまにはこんな日を
君と過ごしてもいいだろう。

つながれたままの君の白い手の氷のような冷たさが、
別に照れているせいなんかじゃなくて、もともと高い俺の体温と
次第に混ざり合って、生ぬるくなって

それでも俺はその手を離したくなくて。

きっと今日、今の俺より体温の高い存在はいないんじゃないか。
そう思うくらい手の生ぬるさと反対に上がっていく顔の熱は
外気に奪われることなく、火照り続けてて。

今日の寒さはサンタさんの贈り物。


君に、触れるための口実。






拍手小説。 ハロウィン編。2006.10

+++++++++++++++++++キバヒナ ハロウィン


「 ヒナタ。 」

突然差し出されたキバの手のひらにヒナタは混乱した。

「 ぇ、な、何キバ君 」

「 はやく。 」

「 あ、え…? 」

「 ほれ 」

「 ????? 」

さらに手をだしてせかす。ヒナタはよりいっそうワケがわからなくなって
おずおずと手をだすと、キバの手を握った。

「 ?!?! 」

とたんにキバが真っ赤になったので、間違えたと思ったヒナタは同じように真っ赤になり、
あわてて手を引こうとした。
ところが、キバは手を離さずに強く握り返してきた。

「 き、キバ君…私間違えたんじゃ…? 」

「 …いい、あってる。 」

そのまま赤くなったキバはヒナタの前を進む。
ヒナタは手を引かれながらキバ以上に真っ赤になっていた。

「 お菓子がないんだから、いたずらするからな 」

「 え…? 」

小さくいったキバの言葉を、はっきり聞き取れなかったヒナタは聞きなおすが
キバはそのまま黙ってしまった。
そして、さらに歩き続ける。

「 き、キバくん、何処行くの…? 」

「 俺んち 」

「 ええ?!キバ君のおうち??な、何しに… 」

「 い た ず ら v 」

「 !!!?//// 」


そのあとヒナタがどうなったかはご想像におまかせします。






拍手小説。 秋編。2006.9

+++++++++++++++++++キバヒナ お月見


「 お、ひなた 」

「 ワン! 」

「 あ、キバくん 」

「 何だ?その大荷物 」

「 今日お月見、するから、 」

「 ああ、買いだしか!大変だな。ひとつ持つぜ 」

「 あ、い、いいよ。大丈夫、だから… 」

「 いいから、ホラ 」

「 ご、ごめんね。ありがとう… 」

「 ワン!! 」

「 赤丸くんもありがとう 」

「 でもよー今日は月あんまりみえねぇんじゃねえの? 」

「 う、うん。そうかも知れないけど、一応毎年の決まりだから… 」

「 ふぅん…。あ、見えなくても白眼なら見えんのか! 」

「 え、あ…無理じゃ、ないと思うけど… 」

「 ? 思うけど…ってやったことないのか? 」

「 う、うん。 」

「 なんで?毎年晴れてたわけじゃないだろ?見えない年とかどうすんの? 」

「 えと…なんだか、その 」

「 ? 」

「 白眼でみちゃ、いけない気がするの… 」

「 月を? 」

「 うん…。 」

「 何で? 」

「 何で…って、ことも、ないんだけど… 」

「 ?? 」

「 何だか…綺麗、だから。 」

「 ― 」

「 綺麗なものは、白眼でみちゃ、いけない気がするの…

  自分の眼で、心でみなくちゃ…って…へ、変だよね 」

「 …変じゃ、ねぇよ。 」

「 え? 」

「 俺もそう、思う。 」



力で手に入れちゃいけないんだ。

本当に綺麗だと思うものは

力で手に入れちゃいけないんだ。

自分で、自分の心で、見つめなくては。

たとえ相手がみえなくても、

見えるまで、

伝わるまで、

待つんだ。






拍手小説。 夏編。2006.8

+++++++++++++++++++++++++++++キバヒナ


「 おー ヒナタ。 」

赤丸の散歩の途中にみかけたヒナタに声をかけると、大きく肩を動かせて驚いた。
振り向いた白い目は戸惑いをうつす。
長い黒髪が頬をかすめた。

あいつのために伸ばした髪。

近々戻ってくるあいつを心まちにしている。

「 キ、キバくん、赤丸君…お散歩? 」

足元の赤丸をなでながら必死に平静を保つように俺を見ないヒナタ。
しゃがみこんでいるからヒナタの黒髪のてっぺんがみえる。
艶のある髪は俗に言う「天使の輪」をうみだして、夏の暑い日ざしを浴びている。

「 ほら、帰ろうぜ 」

立ちくらみをするだろうそいつの手を引いて歩き出す。
ヒナタはえ、とかあ、とかいいながらもついてくる。

「 き、キバ君…どうして 」

「 みりゃわかるんだよ。何年チーム組んでると思ってんだ 」

確実に日に当てられて火照った頬に、汗。
熱中症にでもなったらどうする。
なんで、隠そうとするんだ。なんで、頼ってくれない。

とおりすがり金髪とすれ違って、ヒナタはふりかえる。
あこがれのあの人はまだ戻ってきていないとわかっているのにどうしても目が追ってしまう、太陽の色。
お前はいつも、太陽をみて頬を火照らす。
少し、かげる白い目。


「 あー…もうすぐナルトが帰ってくるんだってよ。 」

「 ナ、ナルト君が?! 」

名前を聞くなり顔を真っ赤にして嬉しそうにしたそいつをみて、言ったことを少しだけ後悔した。

「 だからまた気絶しねーよーに体鍛えておけよ 」

「 う、うん 」

真っ赤にしてうつむいたそいつの天使の輪をみながら「それじゃな」と別れをつげて
手を 離す。

「 キバ君 」

「 あん? 」

「 ありがとう 」

あー黒髪の、艶に良くはえるその笑顔で
俺の夏は加速していく。

太陽の色は俺の好きな色でもあり、みたくない色でもある。

だけど、こんな風に焦がれる夏も 嫌いじゃない。

天使の輪に別れを告げて、俺は再び太陽を見上げる。

遠い。

「 わん! 」

呼ばれて振り向いたところにもう黒髪はいなかったけど。

「 帰るか、赤丸 」

「 わん 」

黒髪が触れた赤丸の頭を、もう一度なでて
太陽を見上げる。

「 …負けねーからな 」

太陽にだって渡したくない。

俺の 天使。