団子と扇子と口癖と
「 あー!我愛羅のねぇちゃんだってばよ! 」
木の葉の滞在任務。
いつもの甘味処で団子を食べていると、毎回毎回人を見つけると叫びながら指を指す礼儀知らずの金髪の男がやってきた。
「 …うずまきナルト 」
「 ナルトでいいってばよ! 」
そういいながらナルトは当たり前のようにテマリの隣に座って団子を注文した。
「 でもでも、なんで木の葉に? 」
「 任務でな。風影からの伝言と書類を届けに。 」
「 我愛羅元気にしてるってば? 」
「 ああ 」
「 そっか〜 」
そういうと運ばれてきた団子を嬉しそうに口へ運んだ。本当に本当に嬉しそうに。
それは団子が、なのか我愛羅が元気だったことかはわからないが。
以前はみるだけでイライラしていた。だけど、今はコイツがいると自然に笑みがこぼれてくる。
我愛羅を…いや、我愛羅だけじゃない。
私たちを変えてくれた。私たちを救ってくれた。
うずまきナルト。
お前は本当にすごい。
人を変える力を持っている。…うらやましいよ。
「 我愛羅のねぇーちゃんも持ってるってばよ? 」
え?
「 我愛羅のねぇーちゃんといるようになってから シカマルが変わったって
チョウジやいのが言ってたってばよ! 」
シカマルが?
「 そういえば今日は何でシカマルは一緒じゃないんだってば? 」
いつも一緒にいるわけではないのだが…
「 私だってたまには一人で行動… 「 おいッ!!! 」
言いかけるとすごい大声で呼ばれた。
なぜ名前でもないのに自分が呼ばれたとわかったのかは定かじゃないが、その声が聞きなれた、今話題の人物だったからだ。
「 シカマル 」
「 あんた 何、勝手に 行動とって、んだよ… 」
はあはあ、と汗をふきながら肩で息をするシカマルは、相当急いで走っていたのか、
ひざに手をついて、搾り出すような声で途切れ途切れに言った。
「 私が何処へ行こうと勝手だろう。 」
「 そうは、いかねっつの…。一応これでも あんたの護衛役つかってんだからよ… 」
「 きちんと火影に伝えたろう? それに、護衛なら見張りでついて回ってる暗部のものがしてくれるさ。 」
「 … 」
それきり黙りこくったシカマルは、どすんとテマリのよこにすわって呼吸を整えていた。
しばらくして呼吸が落ち着いてきたのか、上げていたあごを元に戻して、こちらをむいた。
「 …で? 」
「 で? 」
「 …なんでナルトがいるんだよ 」
心なしか低い声で聞いたシカマルにテマリは???を頭に浮かべていたが、
ナルトはにまーーーっと嬉しそうに笑って立ち上がった。
「 俺は我愛羅のねーちゃんとデートだったってばよ! 」
「 … 」
「 ナルト? 」
「 でもま、邪魔者がきちまったから帰るってばよー 」
わざとらしくシカマルのまわりをちょろちょろして、ナルトはテマリにふりかえる。
「 じゃあな、我愛羅のねーちゃん! 」
「 ああ 」
ナルトはおもむろにテマリの耳元に口をよせて、シカマルに聞こえないような小さな声で言った。
『 シカマルがあんなに急いでるところなんて見たこと無いってばよ。
やっぱりねーちゃんはシカマルを変えたってば 』
テマリが驚いてナルトを振り向くと、ナルトは満足げに目を細くして、手を振りながら走り出した。
「 じゃーなー! 」
ナルトが去ってしばらく沈黙が続いた。
ナルトが嘘をついているってのはわかってるんだ。
でも一人で行動したいといって俺が戻る前に火影室をあとにしたテマリがナルトと一緒にいたっていうのが気にくわねぇ。
…俺からははなれてたくせに何ナルトと団子なんか食ってんだよ。
考え込んでいるのかシカマルはピクリとも動かず、睨むようにどこかを見ている。
痺れを切らしたテマリが声をだす。
「 …なんでそんなに慌ててたんだ? 」
「 …そりゃ… 」
落ちつかねーんだよ。あんたが木の葉に滞在してるって知ってんのに、その扇子が目に入ってないのが。
団子食ってる姿を見ねぇのは。
「 ? 」
「 …あんたもう帰っちまったのか…と…思って… 」
だんだん小さくなっていく声を聞き逃さないようにテマリが耳を近づけると、
シカマルは顔を赤くして立ち上がった。反動で近づいていたテマリが前につんのめる。
「 なんだ、急に 」
「 行くぞ 」
「 どこに 」
「 どこでも、だよ 」
勘定をおくと、シカマルはテマリの横においてあった扇子を手に持って歩き出した。
「 あっ! こら返せ! 」
「 だったらついて来いよ。 」
「 なんなんだ一体!! 」
「 ていうかコレ重くネーか…? 」
そういいながら歩いていく二人を木陰でチョウジと、テマリと共に任務できていたカンクロウが見ていた。
「 必ず誰かは誰かに影響を与える…。テマリさんだって変わったよね。シカマルに会ってから。 」
「 そうじゃん。あんなテマリみたことないじゃん。 」
深い意味はわからないが。
なんだかナルトが言った言葉に嬉しく思った。
シカマルが、自分を探しに息をきらせてくれたことを、正直なところなんだか嬉しく感じたんだ。
だから、今日の一人で買い物、っていう予定は変更。
「 …さっきナルトなんて言ったんだ 」
「 ん? 気になるのか? 」
「 …別に。めんどくせー… 」
当たり前になってきた。 その扇子と団子。
…見るとなんだかほっとすんだ。
当たり前になってきた。 その口癖。
…聞くとなんだか安心するんだ。
お互いに それに気づくのはいつのことか。
…ちょっとシカマルらしくないシカマルになってしまいました。
ヤキモチっぽい感じにして。
我愛羅のことでナルトに感謝するテマリを書きたかったのですが、
その部分ちびっとしかないですね。
2006.8.09 ![]()