※シカテマ情事後です。描写は出てきませんが、そういう関係が苦手な方は読まないようにしてください。
黙っていて月灯
じじくさい じじくさいとは思っていても
「 初めて人を殺めたのはいくつの時だった? 」
「 …は?何だよ、いきなり 」
事がすんだ後のまどろみの中で
「 別に深い意味は無い。 」
「 この前…かな。ま、そいつ不死身だから首切っても死なねーけどよ 」
ああ、やっぱり。だから
「 では まだ、か。 」
私がコイツと出会ったとき、付き合い始めた時のこいつと同じ年だった。
その時にはもう私の足跡は真っ赤だった。歩くたびに靴がぬめった感覚を足に伝え、足を上げた後には血溜まりができるくらいには。
いや、あの頃の方が慣れていただろう。
知らぬ男に抱かれるのも、その男にクナイを突き立てて正面からその血をあびるのも。
直接クナイで肉をたつ感覚も、血しぶきを上げて倒れた相手の死体を見下ろすのも。
初めてこの手で奪った命を覚えている。
12になる少し前のことだった。初めての単独任務で、予定外のことで。
それでも殺さなくては、と思ったときにはすでに体が動いて女の首をかききっていた。
驚くほど速やかに、私の体は人を殺した。
どれだけたたきこまれていても、現場に立てば大人でも足をすくませるというのに、
私の体に叩き込まれた殺人術はいとも簡単に私となじんでいった。
こいつと初めてあったとき、こいつは12.3だった。
13の頃にはもう何人殺めたか数えるのもやめていた。
「 めんどくせーよな…奪った命を考えて生きていくっつのは 」
甘いのだ、この少年は。
奪った命を考えて生きていくには、奪った命を覚えておく必要があるのだ。顔も姿も里もその人生まで。
ではそれがままならないときはどうすればいい?
覚えていられるほど、知っていられるほど、たやすい数ではない。
まだ、少年だ。
時折ひどく思う。ふと空を見上げる横顔や、情事中に垣間見せる狡猾さをもった瞳はあんなにも大人びて、男であるのに、
同期に会ったとき、弟をみたとき、そして忍としてみたとき それは遠い長い三年という差。
里の環境だけじゃない。仕事の経験だけじゃない。体の問題じゃない。
「 できれば、したくねーな 」
心が、そう。
「 でも、 」
真っ直ぐ向いてくるこの心が 子供なのだ。
「 アンタの命なら、考えて生きていきたい 」
その言葉には何も答えずに、テマリは淡く笑った。その笑顔が、にわかにnoを示していたのを、もちろん聡いシカマルは理解する。
テマリは時々、こういう顔をする。
まるでききわけのない子供を諭すような、言ってもわからないから、といったような、そんな顔。
それがひどく腹立たしくて、子供扱いされているのが痛いくらいわかってしまうから、つい手荒く扱う。今夜もそれがきっかけで、そのままに体を重ねた。重ねている間だけは、自分が年下で、相手が年上で、きっとそ
んなこと関係ないと思えるから。
しかし、事が終れば違う。女の顔は、ひどく俺を年下としてみている。
「 …私は、来年20歳をむかえる。 」
シーツを体に巻きながら上半身を起こした女が、背をむけたまま話始める。顔が見えないため、意図するところはまだわからない。
女のあとを追って、上半身を起こす。
「 それと同時に、暗部入隊試験を受ける。 」
そこまでいって、テマリはこちらを見た。しっかりと、目が合う。
「 正式に、それも未成年なんて、ゆるされるはずもない。 」
そして、またあの顔をしてゆるく笑う。
仕方のないことだから、聞いてね。いい子に、受け入れてね。
そんな風にいってるようにも思えて、無性に腹が立った。
テマリの握るシーツごとテマリの体を自分のもとへと引いた。テマリは抵抗せずに胸へと収まってくる。
月だけが、輝いていて。
「 お前は、まだ若い。ヒトを直接手にかけたことも、まだない。
…なら、大丈夫だ。 愛せる。 」
そのテマリの言葉には答えず、シカマルはテマリを抱く腕に力をいれる。ぎゅうと、痕が残りそうなほど、肩を強く抱いた。
少年 だ。
心が少年なんだ。
だから、ごめん。
「 …わけわかんねぇよ。…めんど、くせー… 」
耳元で、搾り出したようなかすれた声が聞こえる。首を動かすことすらままならないくらいに、強く強く抱きしめられているのに、だからこそ、ますます心が遠ざかっていくような虚無感に襲われて、シカマルの背を、強くかき抱いた。
三つ、だ。
その三つの間に、変わっていくものが、どれだけあると思う?
「 …こども、だな 」
言葉になった瞬間に、すべての言葉はふさがれて、
また深い深い闇へとおちていく。
意味をわかってしまって、それでもわからないフリをしたい、この聡い男は
ひどく、こどもだ。
「 そういう、アンタだって 」
言い訳を並べて、離れる理由をつけて
でなきゃ怖くて自分から手放せない。
「 …そうかもな 」
せめて、この男が自分と同じ、年であったなら
自分と同じに、成人を迎えてくれていたなら
「 もう少し、寝ようか 」
何かが変わったのかもしれない。何かが、変えられたのかもしれない。
再びすべてを忘れる深い闇へ。何も悩まずに居られる、お前というただの男の腕の中へ。
堕ちて、ゆく。
それでも、月は
何も言わずに私たちをみていた。
堕ちて 溺れてゆく私たちを、ただ 見ていた。
erp様、大変遅くなってしまって本当に申し訳ありません!
erp様がとても大人な女性のイメージでありますので、そんなイメージでテマリさんを表現してみましたが…
時間をかけて書いた割には、年齢差に悩んでいるというリク内容を上手く消化しきれなかったようです;
相互ありがとうございました!拙作ではありますが、相互SSとして捧げさせていただきます。
2008.03.18 ![]()
※年齢差に矛盾があったので、一部修正しました;すみません。