特別な














9.22




「 まじで、もう勘弁。 」


誕生日だといっていのにいろんなところに連れまわされたシカマルは、そろそろ限界といった声を上げた。


「 なぁに、だらしないわねー 」


そういういのを唇を突き出したままの顔でちら見して、ため息をつく。


「 じゃあ、次で最後にしましょー 」

「 まだあんのかよ。もういいって。めんどくせー 」

「 だめよー、絶対次はいかないと後悔するわよー! 」


そういって今まで回ったところにろくなところはなかっただろうがよ。
ため息をついて家に帰ろうとすると、いのは俺の腕を強くつかむ。


「 本当に、いいの? 」


何かたくらんでいるその顔に疲労感をかんじたが、チョウジまでもが俺の前に立ってとめるので、
きっとこれから行くところが一番連れて行きたかったんだろうと、俺はしぶしぶ承諾した。

















「 ・・・・は? 」


連れて行かれた先は火影室前。

まさか誕生日プレゼントに…


「 素敵な任務をプレゼントっv 」


やられた。

そそくさと立ち去っていくいのを睨む。チョウジが隣で、苦笑いして、言った。


「 シカマル、おめでとう。 」

「 …チョウジ 」


多少怒りをこめて発した声を聞いて、チョウジはすこし困った顔をしながら、いのに呼ばれて去っていった。

仕方なく火影室のドアをノックする。


「 やっときたか。開けな。 」


「 失礼しまー… 」


聞こえてきた火影の声に、大きくため息をつきながら扉をあけると、そこには予想もしなかった人物の姿が見えた。


「 …! 」

「 遅かったじゃないか。泣き虫君。 」


砂のテマリ。

なんでお前がここにいる?
そんな言葉も驚いてのどを通らなかった。それくらい、驚いた。

奪還任務後、久しい再開を心ならずも、どこかで望んでいた俺は扉をにぎったまま固まった。


「 このたび、お前と同じ合同中忍試験の管理官に任命された砂のテマリだ。

  今日一日木の葉を観光するそうだから、きちんと案内してやれ。 」


火影がにっかりと笑うと、テマリはシカマルに笑いかけた。














「 大体お前まだ下忍じゃねーのかよ。 」

「 そうだ。だから次の中忍選抜には私も出る。 」

「 …そんなやつが役人やってていいのかよ。 」

「 砂はいま人材不足だ。それに私は今までも中忍代わりの任務を受け持ってきた。問題は、ない。 」


街を歩く。俺が普段生活しているこの街に、こいつと肩を並べて歩くとは。

少し俺より高い身長。確か、3つ年上のこの母ちゃんより怖ぇ女に。
めんどくせーが確実に侵食されつつある俺の心。

意外と、キレイな色なんだよ、こいつの目。


「 そういえばお前今日誕生日なんだってな 」


なんの前触れもなくテマリがそういうものだから、シカマルはこけるかと思うくらい驚いた。
なんでこいつが知ってるんだ?ていうかまて、俺なに、喜んでんだ。何を期待してるんだ。
どうせいのかチョウジあたりから火影が伝えたんだ。落ち着け。


「 お前空は、好きか? 」


唐突の質問にぽかんと口をあける。
まさかこいつの口からそんなセリフが出てくるとは思わなかった。


「 あ、ああまぁ…ってぅお! 」

俺がうなづくなり突然そいつは背中の扇子をふりおろして風を起こした。
周りに人は居ないから良かったようなものの、何を考えているんだ。仮にも他里で。


「 乗れ。 」


そのまま扇子に飛び乗ったそいつは俺にも乗るようにうながしてきた。
わけがわからずとほうにくれていると、そいつは無理やり俺の腕をひっぱってそらへ飛び立つ。

突然重心を無理に動かされてバランスを崩した俺はそいつの背中に顔をぶつける。
意外に、小さくて、暖かい。


「 落ちるなよ! 」


そういうと高く高く上っていく。


「 わ…すげー… 」


そいつと背中合わせに座る。扇子の上は中心に人が二人のるのが限度だ。
その不安定さに慣れてから下を覗き込むと里が一望できた。すぐ上に雲が見える。



「 だろう。 」



そいつは俺の言葉に満足げに、そして得意げに、あのときみたいに笑ってみせた。

んとにわけわかんねぇ女。気の強い、女。
…だけどまぁ、そんな顔されたら笑うしかねえな。



「 誕生日だから、特別だ。 」


そういって数分の空中散歩を終える。その背中のぬくもりがすごく名残惜しかった。



「 …他のヤツも誕生日なら乗せんのか 」


いってからきづいた。何言ってんだ、俺。バカか。
そいつは少しきょとんとしたが、んー…としばらく上を向いて考えて、なんでもないように言った。


「 そういえば、お前が初めてだ。乗せたの。 」


その言葉に驚いて俺が振り向くと、そいつは「なんだ?」と眉間にしわを寄せた。
その意味、わかってんのかよ。

とにかくも俺はなんだか無性に気分が良くなって、先に歩き出す。

「 こら、待て。 」

「 なぁ 」

「 あ? 」

「 来年も乗っけてくれるか? 」


俺だけを



頭の後ろに手を組んだまま振り向くと、そいつはまた、笑った。
とても、優しく。



「 さぁな 」



言葉とは裏腹な、微笑みに近しい笑顔。

ああ、来年が楽しみだ。


年に一度の、特別な日に。

特別な、キミと

特別な空の散歩。




































下忍のまま中忍試験の係っていうのはちょっと無理ありましたね。
ま、テマリが原作っぽく描けたので良しとしよう。

2006.8.11